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FEATURE / MOVEMENT

MOЁT & CHANDON “GRAND VINTAGE ROSÉ 2008” 際立つバランスと美しい酸味 

Aug 06, 2016

text by Tadayuki Yanagi






冷涼に推移した2008年は、“クラシックな”ヴィンテージ。潜在アルコール度数は9.8%と平均的だが、8.6g/lの総酸度はここ10年で最も高く、過去のヴィンテージでは98年や88年とよく似ているという。ピノ・ノワール46%(うち20%が赤ワイン)、シャルドネ32%、ムニエ22%のアサンブラージュ。2015年4月に澱抜きを行い、ドザージュは5g/lと控えめ。柔らかな果実味とピュアな酸味が見事な調和を見せる。

「この厳しい酸味を抑え、モエ・エ・シャンドンらしい柔かみをどう表現するかが、私たちにとって大きな課題となりました」とブノワ。そこで特に酸の強いシャルドネの比率を控えめにアサンブラージュ。攻撃的な酸味を封じ込めたが、ブランのほうはまだ少々熟成の時間を要するようだ。「20%含まれる赤ワインがシャンパンに丸みを与えてくれるので、ロゼはひと足早く飲み頃を迎えたのです」と語る。

ピュアな酸味



08年のグラン ヴィンテージ ロゼのお披露目に、グラン ヴィンテージ コレクションから2006年ロゼ、1998年ロゼ、1988年ロゼも登場し、ディナーのテーブルがロゼ一色に染まった。

7年の瓶内熟成期間を経てリリースされた08年のグラン ヴィンテージ ロゼをひと言で表現するなら「バランス」であろう。やや深みを増したサーモンピンクの色調が実に鮮やか。バラを思わせるフローラルなアロマに、ピンクグレープフルーツの柑橘香、ラズベリーやグロゼイユといった赤い果実の香りも鼻腔をかすめる。口に含むと馥郁とした果実味が舌先を丸く包み、その後、このヴィンテージの特徴であるピュアな酸味が広がっていく。奥行きが深く、レイヤーが幾重にも折り重なり、余韻も長い。

料理を選ばない1本



日本橋のフランス料理店「La Paix」の松本一平シェフによる「金目鯛の鱗焼き、とうもろこし、ジロール、サラダ菜のソテー添え」。金目鯛の皮目の色がグラン ヴィンテージ ロゼ 2008の美しい色合いと同調。鱗の香ばしさがシュール・リー由来のイースト香とマッチし、7年の熟成によって生まれる複雑なフレーバーとジロール茸の香りがきれいに絡み合う。素材の旨味を引き出した繊細な味付けは、ドザージュの控えめなこのシャンパンと好相性だ。

バランスに長け、酸味の美しい、08年のグラン ヴィンテージ ロゼは、料理を選ばない1本として、バーサティリティ(汎用性)に富む。押しつけがましさがないため、素材の風味を生かした、昨今の繊細で上品な料理にうまく同調することは必定。赤身の肉料理でさえ、酸味の利かせ方次第で見事に寄り添うだろう。
ブランとのデュエットを必ずしも必要とせず、ソロで完璧に満足させてしまうグラン ヴィンテージ ロゼ 2008。モエ・エ・シャンドンのロゼがなぜそれほどの人気を誇るのか、このキュヴェを味わえば、理由は自ずと見えてくる。


[商品に関する情報]
MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社 http://moet.jp


SHOP DATA

◎La Paix
東京都中央区日本橋室町1-9-4 B1F
☎ 03-6262-3959
11時~13時半LO 18時~21時LO 水曜休
東京メトロ三越前駅より徒歩1分
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