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JOURNAL / JAPAN

ようこそ発酵蔵へ【麹 Koji】

神奈川・菊名「小泉麹屋」

Dec 13, 2021

text by Kyoko Kita / photographs by Hide Urabe

発酵大国、日本。丁寧に時間をかけて微生物と向き合い、日本の伝統食を次代へつなぐ蔵、生産者を訪ねます。写真で巡る発酵の世界。今回は、世界でも「KOJI」として人気が高まる麹造りの室(むろ)へご案内します。

固まった麹を丁寧にほぐす。手触りや香りで、麹の状態を見極める。

麹蓋は、麹の温度や湿度を均一に管理できる優れた製麹法だが、手間がかかるため続けている作り手は僅か。


室は温度約30℃、湿度80~90%。ストーブに湯を沸かし、扉の小窓の開閉で調整。

完成した麹は表面がふわふわとして、甘い香りが漂う。


「手前味噌」という文化の担い手

手前味噌。それは日本人の暮らしに最も根付いた発酵文化の一つ。その発酵を司り、味噌の味の要となるのが、麹だ。

明治元年創業。以来、「小泉麹屋」は変わらぬやり方で麹を育て、味噌を仕込んできた。だが 1983 年、主人の他界により百年の歴史に一旦幕を下ろす。転機は 97 年、息子の小泉聡さんが30歳の時。夢枕に立った父に背を押され脱サラ、家業の復活を決める。技術は元職人である叔父に一から仕込んでもらった。翌年にはネットショップを開設。主力は味噌で、と思いきや、意外にも、大豆と塩と麹を詰め合わせた「手前味噌キット」が動いた。小泉さんは麹屋としての道をここに見出す。

毎朝4時半に作業開始。米を蒸し、麹菌をまぶし、毛布に包んで温かい室へ移動。菌が発熱してきたらほぐし、何十枚もの麹蓋に分けて盛り、再びほぐし広げて、蓋の上下を組み替える。出来上がりまでの3日間、「麹の生育に適した湿度と温度のコントロール」が最大にして唯一の仕事だ。麹造りの傍ら、月 30 回以上の味噌造り講習会を開く。時が経つにつれ深まる色、変化する香り・・・元気な麹が織りなす発酵のミラクルに子供たちは驚き、生きた味噌の味に大人も心を奪われる。コンビニでも味噌が買える時代に、廃れるどころかにわかに盛り上がりを見せる「手前味噌」という文化。「小泉麹屋」がその一翼を担っている。

(左)「生米こうじ」2320円/1kgは食用と同等の国産米を使用。小麦と米の合わせ味噌「横浜贅沢三昧」 1280円/500gも販売。麦は大麦が主流だが、同店では国産小麦で。(右上)「生小麦こうじ」1300円/1㎏。(いずれも税込)



小泉麹屋
神奈川県横浜市港北区菊名5-24-25
☎045-432-7488 
https://www.koujiya.com/

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