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JOURNAL / JAPAN

日本 [青森]

健康食品からガストロノミー食材へ

未来に届けたい日本の食材 #06黒ニンニク

Jul 05, 2021

変わりゆく時代の中で、変わることなく次世代へ伝えたい日本の食材があります。手間を惜しまず、実直に向き合う生産者の手から生まれた個性豊かな食材を、学校法人 服部学園 服部栄養専門学校理事長・校長、服部幸應さんが案内します。

text by Michiko Watanabe / photographs by Daisuke Nakajima


まるでドライフルーツのような味わいで、世界のトップシェフからも注目を集める黒ニンニク。ニンニクの生産量日本一を誇る青森の地で、研究を重ねて生まれた「おいらせ熟成黒ニンニク」で知られる柏崎青果社長、柏崎進一さんを訪ねました。
「黒ニンニクもようやく味で語られるようになってきた」と柏崎進一社長。隠し味としての使い方から、見せる使い方へ。料理の展開方法も変わってきているそう。
まぁ、ちょっと食べてみて。そのままポイッと。どぉ? 果物みたいに甘いでしょ。糖度が56度あるの。ニンニク臭もない。これが黒ニンニクよ。

そもそもは青森が発祥じゃなくて、2004年、三重県で開発されたものなの。それが2006年、弘前大学の佐々木甚一教授が、黒ニンニクには高い機能性があるという研究成果を発表したもんだから、青森で急に機運が高まったのさ。なにしろ、生産量日本一だもんで。それまで、うちは長芋、ニンニク、ゴボウ、ダイコンなんかを育ててたんだけど、黒ニンニクを作りたくてさ。手探りで試作を始めたのよ。これがすんなりとはいかなくてね。でも、勉強会も発足してたから、その仲間たちと相談しながら進めていったの。工場、見てみるかい?

ニンニクは9、10月に植えて、冬前に10〜15センチ芽が出てくる。冬、雪が降ったら、雪のふとんかぶって寝てるのよ。春になって雪解けしたら、その雪解け水でぐぐっと伸びる。6月中旬に収穫するんだけど、根を切って温風で根元の水分を15%以下まで飛ばすの。何度の風を当てるのか、どのくらいの風量にするのか、水分量をどうするのか、苦労したのよ。試行錯誤したんだわ。今は部屋全体を35℃に温めて和ませてから、扇風機で風を送ってます。それから、専用の熟成庫というか室に入れて、熟成させる。熟成させてるところは秘密にしてるから、お見せできないけど、3週間から長いと4週間、60〜80℃で寝かせます。こんなふうに熟成に時間をかけることで、抗酸化力の強い、S-アリルシステインはじめ、各種アミノ酸やポリフェノールといった健康にいい成分が豊富に含まれるんだね。
6月に収穫されたニンニクは、3週間~1カ月、乾燥用の部屋に保管される。
(左写真)ニンニクは寒さに当たると芽が出る特徴があるため、植えつけは9~10月に行われる。
(右写真)余分な水分はカビの原因になるため、乾燥は根元の水分が15%以下になるまで行う。
だけども、黒ニンニク作ったはいいけど、最初は全然売れなくてねぇ。初めは同業の仲間たち6社ぐらいで任意団体を作って、みんなで宣伝頑張ったのよ。そんな時、スペインのあの「エル・ブジ」が使ってくれて、初めて世界にも広まった。おかげさまで、毎年売り上げは伸び、今や、輸出だけで20億円を超えるほど。

団体も「協同組合青森県黒にんにく協会」となって、県や大学、JETROなどを巻き込みながら、研究と発展に鋭意努めてる。「全国黒にんにくサミットin青森」を開催したり、9月6日をクロの日として、「世界黒にんにくサミット」を県内で開催したり、活動内容も常に進化してます。青森の黒ニンニクを国内外に普及するため、まだまだ頑張りますよ。
今も海外で裾野を広げる黒ニンニク。海外のシェフに注目されたことで、健康食品のイメージから一気にガストロノミー食材へと駆け上った黒ニンニクだが、近年はアメリカのグルメスーパーが宅配食材サービスで年間70万食を売るなど、使い手の裾野はさらに広がっている。

黒ニンニクは、生ニンニクに比べて抗酸化力が強く、免疫力を強化するなどの機能性にも優れている。
(左写真)乾燥がすんだら高温多湿の環境で一定期間熟成させる。具体的な期間や温度、湿度は企業秘密。
(右写真)手前は「フデばあさんの親孝行黒ニンニク」¥1,458(190g)、贈答用に化粧箱入りもある。




◎柏崎青果
青森県上北郡おいらせ町秋堂54 -1
☎0178-56-5030
https://www.aomori96229.jp/
( 雑誌『料理通信』2020年3月号 掲載)






















































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