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JOURNAL / WORLD

America [New York]

利用者の視点で生まれたバリアフリー・レストラン

Nov 15, 2021

text by Akiko Katayama

バリアフリーは飲食業界にとって無視できない課題だ。全米人口の4人に1人が肢体・聴覚・視覚・認知など何らかの障害があるといい、同時にその75%が週に1度は外食をし、年間平均350億ドルを支出するというデータもある。

そんな中、2021年6月にイーストハーレムに開いた現代米国料理店「コンテント(Contento)」が話題を集めている。テーマは“誰もがアクセスできる店”。オーナーのヤニック・ベンジャミン(Yannick Benjamin)氏はソムリエとしてキャリアを積む中、18年前に25歳で交通事故に遭い車椅子生活に。多くの壁にぶつかりながらもワインの仕事を続け、障害の有無にかかわらず、ゲストもスタッフも楽しめる店を開く夢を温め、同店の開店に至った。

店内にはバリアフリーの工夫があちこちに見られる。車椅子用に入り口もテーブル間も広く取り、バーカウンターの席の半分は車椅子でもくつろげる高さに。視覚障がい者のために、スマートフォンでQRコードをスキャンするとメニューを音読するシステムも導入している。さらに洗い場には軽度の自閉症がある人材を登用し、店全体で障がい者支援を図る。

一方ワインリストには、障がい者を多数雇用する生産者、黒人女性のワイナリーなど、社会的に弱い立場にあるコミュニティの改善を目指す銘柄も積極的に揃えている。おすすめを尋ねれば、ベンジャミン氏が目を輝かせながら説明をしてくれる。

現在、来店者の約20%が障害がある人々といい、バリアフリーへのニーズの高さを示唆する。ベンジャミン氏いわく「障がい者対応のために席数を減らせば目先の収益率は下がります。それでも長い目で見て社会の改善に貢献する、価値ある店を目指します」。 

(写真)ベンジャミン氏(前列中央右)は、父親をはじめ飲食店関係者の多い家系の出身。「ル・サーク(Le Cirque)」「ジャン・ジョルジュ(Jean-Georges)」などニューヨーク屈指の人気店で修業した。障がい者のためのチャリティ「ワイン・オン・ホイール(WINE on WHEEL)」も主催する。



◎Contento
88 E 111th Street, New York, NY 10029
☎+1-646-410-0111
15:00~22:00
日曜、月曜休
https://www.contentonyc.com/

*1ドル=113円(2021年10月時点)

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