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JOURNAL / WORLD

Italy [Roma]

刑余者の自立をサポート 刑務所内にカフェ&ベーカリーが誕生

Sep 09, 2021

text by Mika Hisatani

レンガ造りのモダンな店内に並ぶ、パンや焼き菓子、季節の惣菜。バールコーナーにはあらゆるワインやクラフトビールが揃い、野外にはゆったりと食事を楽しめる広いテラス席――実はここ、ローマ最大のレビッビア刑務所内にオープンしたカフェ&ベーカリー「クッカリーレビッビア(COOKERY REBIBBIA)」である。

前代未聞、刑務所内で一般客向け飲食店営業を担うのは、「コナッド(Conad)」などの大型スーパーを運営するCRグループ社。2020年末の開店予定が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大幅に延滞し、2021年7月15日に満を持してオープンした。

店舗裏には広い厨房が設備され、パンから惣菜まですべて現地で製造する。主力商品は、自家培養酵母で長時間発酵させて焼き上げる日常の食事パン。キヌアやヒマワリ、アマランサスなど8種類の種が入った全粒粉のパンや、石臼で挽いたスペルト小麦のパンなどがある。これらのパンは拘置所以外にも、CRグループが経営する11店舗のスーパーでも販売しているため、厨房は連日フル回転のハードワークだ。

製造は現場を率いるクッカリーの製造責任者ワルテル氏、同社から派遣されたスタッフ、7名の刑余者(刑罰を受けた人や刑期の一定期間を経過して仮釈放になった人)がひとつのチームになって進めている。刑余者スタッフは既に同社に雇用されており、ここに勤務しながら完全な社会復帰を目指すという。

いかなる人も孤立させない、より安全な社会の実現について、今一度考えさせられる共生プロジェクト。開店と同時に全国紙からグルメ誌にも取り上げられ、幸先のよいスタートを切った。

(写真)自治体と企業、市民が一体となり、食を通じて刑余者の就労支援と再犯防止を目指す。その舞台であるパン工房には香ばしいパンの香りと共にスタッフの活気で溢れている。


◎Cookery Rebibbia
Via Bartolo Longo 82, 00156 Roma
☎+39-06-4121-7735
6:30~20:00
日曜休

Instagram:@cookery.roma
Facebook:@cookeryrome

1ユーロ=129円(2021年8月時点)

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